(R18/ドS兄×ドM弟/SM/恥辱/兄弟)「渇いた愛獣たち2」第2話

「渇いた愛獣たち」(2)-2清太の楽しみ

 四時間目終了の鐘が鳴ると、清太は机の中にある教科書を自分のロッカーにしまいに行った。高校三年の一月。指定校推薦で進路の決まっている清太は特別勉強することもなかった。それでも、提出義務のない論文と英語の問題集を鞄に入れるあたり、非常に真面目な生徒だった。
 帰りのホームルームの時間も、他の生徒たちが携帯をいじっているなか、教壇に立つ担任の話をじっと目を見て聞いていた。
「清太―!」
 赤いチェック柄のマフラーを巻き、さっそうと教室を出ようとする清太をクラスメイトが呼び止めた。
 清太が振り向くと、そこにはいつもつるんでいる同級生三人がいた。
「清太―、帰りに映画観に行こうと思ってるんだけど、清太も来いよ」
 三人の中でも一番積極的な相沢(あいざわ)が清太の目の前まで来た。清太を含め真面目で大人しいグループの中で、相沢はひと際目立った存在だった。運動部の部長もやっていたし、校則で禁止されているピアスの穴も開いていた。
「ごめん、兄ちゃんの所に行くから」
「は? あの兄貴かよ!?」
 相沢は怪訝そうな顔を清太に見せつけた。相沢を含め他の二人も以前清太の兄陽一を見た時の印象はあまり良いものではない。
「ごめん……じゃあ、またね」
 清太は申し訳なさそうな笑顔を一瞬浮かべると、まだ苦い顔をする三人をよそに教室を出て行ってしまった。
 だが相沢は清太の表情を探るように最後まで目で追った。

 清太は陽一のアパートに着くと、陽一から貰った合鍵を使い、玄関に入るとすぐにその鍵を大事そうにリュックにしまった。
 部屋に入り陽一の匂いを感じるとそれだけで顔がほころんだ。当然、陽一はまだ仕事で帰って来ていないが、清太ははしゃぐように部屋の中央に置かれたソファーに体を倒した。
「兄ちゃん、今日は何時に帰って来るんだろ」
 清太は電気もつけないまま、ぼーっと天井を見つめた。薄暗い部屋の空間に眠気が襲って来ると、それを振り切るように起き上がり、鞄の中に入っている論文と英語の問題集をテーブルに広げた。
 陽一の部屋に寝泊まりしていることは両親も知っており、兄弟だから特別非難される理由もなかった。ただ時に一週間以上も顔を見せない事もあり、余計な心配をさせない為にもせめて学校生活は真面目にすると決めていた。
 苦手な論文の問題も終え、シャープペンを置くと清太の腹の虫が鳴った。集中していたせいか、課題に噛り付いてから二時間以上が経っていた。清太はここに来る前に寄ったコンビニの袋を引き寄せると、おにぎりと紙パックの麦茶を取り出した。
 適当に腹ごしらえを終えると、ベッドから毛布を引き出し、ソファーにだらしなく横になった。たれ目をますます重たくさげながら、いつものように体を丸くさせる。寝返りを打つと、苦しかったのかシャツのボタンを二三個はずし、制服の赤いネクタイを緩めた。
 何かがぶつかるような衝撃に目を開くと、部屋の中は真暗になっていた。おぼろげな照明を頼りに目を凝らすと兄陽一の姿が確認できた。
「なに? 他に男いるんじゃんっ」
聞き覚えのない男の声を耳にすると、ぱっと明るい照明が点き、目の前に見覚えのない若い男がこっちを覗き込んでいた。
「陽一―! 誰だよコイツ」
若い男は口を尖らせながら陽一に絡みついた。
清太はむっくりと体を起き上がらせると、眠気眼を陽一に向けた。陽一は仕事帰りにクラブでも寄ったのか、スーツ姿でシャツが若干乱れ、よく見ると短めの黒い髪も乱れていた。突っかかる男をよそに面倒臭そうな表情をしながらタバコを咥えている。
「兄ちゃん……俺帰るね」
清太は納得したようにそのままマフラーを巻き、鞄を肩に掛けた。横にいる男は疑い深い目を清太に向けている。
「清太」 
 陽一は、ひょうひょうとした表情の清太を玄関先で引きとめた。
「じゃあ、またね」
清太は自分の腕を掴む陽一の手をやんわりと解くと、穏やかな顔に薄ら笑いを浮かべながら出て行った。
 マフラーとブレザーの下に着ているセーターだけではとても寒い夜だった。時計は十一時を回っており住宅が密集しているこの場所もさすがに静まり返っていた。
 陽一のアパートからだいぶ離れると清太はぎゅっと表情を変え眉をしかめる。
兄が他の男を連れ込むことは珍しいことではない。
 清太はそのたびに嫉妬と悲哀で胸が痛くなった。だが、その痛みも陽一から与えられていると思えば悦びになり、さらに清太は、他の男の後に自分が抱かれることも悦びであった。それは他の男を抱いても結局自分を受け入れてくれるという証に感じ快感を覚えた。
 だから、あの場に遭遇しても清太は平然といられ、寧ろ他の男を抱くように催促し自ら被虐精神を求めた。
「…………」
 次に抱かれることを考え始めたのか、清太の顔はいつの間にかほころび始めた。
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